京のお正月「私のお雑煮」
京都在住の料理研究家・小宮真由です。
謹賀新年。
あけましておめでとうございます。
本年も素晴らしい一年となりますように。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
年明けの朝は、あたりもどこか清々しく、
いくつになっても気持ちのよいものですね。
玄関の門、両脇には根引き松を。
12月30日の午前中には清掃を済ませて飾っています。
31日に飾ることを「一夜飾り」と呼び、
お正月迎えの気構えを問われてしまいます。
お正月に降臨される歳神様は
準備している様子も
ご覧になられているのかもしれませんね。
子供の頃、大晦日の夜には、新しい肌着を枕元に置いて休んだものです。
元日の朝には、冷たい肌着を身に付けながら
いつもと違う行いが嬉しくて。
身支度を整えてから、まずは家長へ挨拶を済ませます。
この時ばかりは、手をついて深々と新年のご挨拶を。
毎日顔をつきあわす家族だけに、
少々照れもありますが、
おちょけているとしかられて
「お正月は神様がきたはる、ちゃんとしなあかんで」
と言われたものです。
その甲斐あって、
新年はいつもと気持ちが違います。
「ちゃんとしなあかん」
という気分です。
我が家の元旦は
きまって一杯の「福茶」からはじまります。
福茶とは、結んだ昆布と小梅を入れたお茶のこと。
注ぐのは、白湯であったり、お茶であったり、
各家庭により違いはありますが、
朝一番にからだを浄めるという意味があります。
福茶をいただいたら、
まずはお雑煮を口にします。
京都といえば、白味噌のお雑煮。
お正月は、昆布もいつもより贅沢につかってだしを引いて、
白味噌もたっぷりと使います。
今回は私がいただくお雑煮をご紹介しましょう。
具材は、主役でもある、まぁるいお餅に、
京都といえば、頭芋。
頭芋とは小芋の親のこと。
男性は手の拳くらいの大きい頭芋をいただきますが、
女性は小さい頭芋、または小芋か海老芋。
その他、雑煮大根に、金時人参、具材はみーんな、まんまる。
京都では、何事においても角を立てないとし、
まぁるいものがよろしい、と聞いて育ちました。
そう考えると、ひと椀のお雑煮の中にも
奥深さがありますね〜。
まった〜り、とろ〜り。
白味噌は、いついただいても贅沢な気持ちにさせてくれます。
さて、お雑煮のあとは、祝肴三種をいただきます。
京都では、数の子、五万米(ごまめ)、たたき牛蒡。
子孫繁栄、五穀豊穣、無病息災を意味します。
人が生きていく上での
基本的な考えが込められているお食事が
「おせち料理」なのです。
夫と暮らす現在の暮らしには
床の間はないのですが、
居間の小箪笥を利用して、お正月飾りをしつらえます。
大きな獅子柚子は邪気を祓うと言われていることから
同じく邪気祓いつながり、
赤色の和紙を枝に巻いてみました。
柚子の香はお正月らしくて、いいもんですね。
あ〜 おめでたい。
日本全国、いえ世界中が「おめでとう」と祝うお正月。
今年も心豊かに参りましょう。
京都から、
お味噌ふくふく便りでした。
料理研究家 小宮理実(こみやりみ)
料理研究家。おせち料理の専門家として、新聞・テレビ・ラジオへ多数出演。京都で料理教室「福千鳥」(会員制)を主宰。おせち料理や節句の食など、日本文化や季節感を大切にした行事食を伝える活動を行う。
1971年・京都室町生まれ。
2018年11月30日、小宮真由から小宮理実(こみやりみ)に活動名を改名しました。