初夏を愉しむ
京都在住の料理研究家・小宮真由です。
日増しに暖かくなり、流れる風も心地よい
本当にいい季節となりました。
空を見あげると抜けるような青空が広がり
あまりの美しさに吸い込まれるような感覚に……。
育ち始めた草花も、いきいきとしています。
そう、この季節はすべてが喜びに満ち溢れているかのようです。
四季があるからこそ、味わえる楽しみ。
そう思わずにいられません。
早いもので、暦の上ではもうすぐ立夏。
自然も着々と夏を迎える支度を進めています。
今年は特に暑い夏になるとお聞きしました。
涼む工夫を今から考えて、備えておきたいと……。
そこで、おいしい癒しを考えてみることに。
ひらめいたのが、西京味噌を使った京都らしいアイスクリーム!
お味噌を加えたアイスクリームってどんなお味に仕上がるのかなぁ。
ワクワクしながら試作を重ね、つくってみました。
そして、ついに出来上がりましたよ。
少々濃厚に仕上げたいことから、牛乳は使わず、
乳製品は生クリームのみ。
美山の平飼い卵と、砂糖、そしてお味の決め手は西京味噌。
つくり方も極めて簡単、シンプルがよろしいかと。
シャカシャカ……(カクハンしている音)。
卵を割り、よく混ぜながら、砂糖を2度に分けて加えます。
白っぽくなってきたら、次の作業へ。
おいしい生クリームも泡立てておきましょう。
このときに生クリームを少しだけ、別容器へ分けておきます。
そこへ用意しておいた西京味噌を加え、よく溶いておきましょう。
卵と砂糖を混ぜたもの、泡立てた生クリーム、溶いた西京味噌、この3つをひとつにまとめ、さっくりと混ぜて、
とろっとした状態にします(混ぜすぎに注意、さっくりとね)。
あとは、保存容器へ流し込んで、冷凍庫で冷やすのみ。
3〜5時間もすれば、手づくりアイスクリームの完成です。
西京味噌のほのかな塩味がアイスクリームの甘さを引き締めます。
ステンレスのスプーンですくって、こんもりと盛ってみてください。
そう、こんもりですよ。
家庭でつくるアイスクリームは、
ざっくりした感じが似合うと思うんです。
おいしそう〜って、思わず声が出る感じね。
せっかくなので、アイスクリームに名前をつけることに。
何がいいかなぁ……。
そうだ「ふくふくアイスクリーム」はいかがでしょう?
コラムのタイトルも「ふくふく」、みんなもふくふく、すべてがふくふく。
運もふくらむ感じがしますでしょ。
そして、うつわ選びも楽しみのひとつ。
青空を飛び交う鳥たちへ想いを馳せて
両端に小鳥がついた染付の小鉢へよそってみました。
この季節に似合う感じがして…… 楽しい。
こうして、料理とうつわの組み合わせを考えることも、
ふくふく時間です。
今年の夏は西京味噌のアイスクリームで決まり。
素敵な時間をお過ごしくださいますように……。
京都からお味噌ふくふく便りでした。
料理研究家 小宮理実(こみやりみ)
料理研究家。おせち料理の専門家として、新聞・テレビ・ラジオへ多数出演。京都で料理教室「福千鳥」(会員制)を主宰。おせち料理や節句の食など、日本文化や季節感を大切にした行事食を伝える活動を行う。
1971年・京都室町生まれ。
2018年11月30日、小宮真由から小宮理実(こみやりみ)に活動名を改名しました。