小宮理実のお味噌ふくふく便り

土用の丑に

2020.07.16

京都在住の料理研究家・小宮理実です。

二十四節気でいうと大暑を迎え、いよいよ本格的な京の夏がやってきました。
今年は残念ながら祇園祭の山鉾巡行はおやすみですが、例年この時期は祇園祭の熱気にあふれ、とても賑やか。京都の夏の醍醐味を感じる時です。
そして、忘れてはいけないのが、雑節「土用の丑」です。

土用とは、年に4回、立春・立夏・立秋・立冬の前にあたる約18日間を指し、ちょうど季節の変わり目となります。昔は日にちに、干支を当てていましたが、今でも干支を書き込んだ暦を見てみると、「丑」と付く日があります。
よく言う「土用の丑」とは、立秋前の土用期間中の丑の日を指しています。
今年の夏は、7月21日と8月2日の2日間が「土用の丑」にあたります。
最初の丑の日を「一の丑」、二回目を「二の丑」と呼ぶのだそうです。
今回はじめて知ったのですが、これからはわたしもそのように呼んでみましょう。

夏の土用には、「う」の付くものを食べると良いと言われています。わたしも「う」の付く食材を探しに、買い物にでてみました。
まず最初はもちろん「鰻」です。これは、外せません。

そして、「瓜(うり)」に「梅干し」。
梅干しは食後のお口直しにいただくことにして…。
今回は、鰻と瓜を調理してみました。

節目でもあるので、食卓も華やかに。香味野菜の大葉やみょうがを刻んで、たっぷりのきゅうり、白ごまを酢飯に混ぜ込んだ「鰻の香りずし」を作ってみました。木の芽をちらすとより華やかに。
目からも夏の暑さをやわらげてくれるようです。

瓜は、さっと塩茹でにして、しっかりと水分をきります。
角切りにしたかまぼこといっしょに、西京味噌の風味を生かした酢味噌で和えてみました。

それぞれのうつわに盛り付け、西京味噌のお味噌汁を添えています。
お味噌汁には生湯葉をのせて、つるんとろんとした口あたりを楽しみます。
食事の〆には、消化を助ける梅干しを口にして、スッキリと。
土用の意味を考えながら、美味しい食事をいただいて、体力増進、パワーも倍増です。

京都から、愛をこめて。「お味噌ふくふく便り」でした。

料理研究家 小宮理実(こみやりみ)

料理研究家。おせち料理の専門家として、新聞・テレビ・ラジオへ多数出演。京都で料理教室「福千鳥」(会員制)を主宰。おせち料理や節句の食など、日本文化や季節感を大切にした行事食を伝える活動を行う。
1971年・京都室町生まれ。
2018年11月30日、小宮真由から小宮理実(こみやりみ)に活動名を改名しました。

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