小宮真由のお味噌ふくふく便り

秋の行楽弁当

2018.10.24

京都在住の料理研究家・小宮真由です。

秋の晴れ間はいいですね。
暑くもなく、寒くもなく、清々しくて。この時期限定、自然からの贈り物のようです。
澄みきった青空を眺めていると、気持ちもムズムズ。外に出かけたくなります。
わたしの場合、特に遠出をしなくても、ワンマイルな距離感で思う存分、楽しみます。
葉が赤く色付く頃になると寒暖差もあり、少々肌寒いことから、まだ日差しの温もりを感じる葉の黄色い、この時期がむしろおすすめ。
暖かい時間を選んで、おひさまの元へ。「おいしくたのしい」をカゴの中に詰め込んで 鴨川へ向かいます。

今回のお弁当は、秋の三大味覚「芋・栗・南瓜」をご用意。 お芋さんのレモン煮、栗は風味豊かな渋皮煮、南瓜は面取りをして、きび糖と少しの塩で炊いたものを。
その他、京都のおいしい旬も加えて、合計15品を詰め合わせました。

中でもおすすめは、西京味噌を使った一品。
お出汁を優しく煮含めた小芋の上には、西京味噌に生姜とハチミツを加えたおかず味噌をのせて、仕上げにはケシの実をぱらりと。

また、銀鮭は西京漬にしました。西京味噌に発酵の素、糀を足した、手作りの西京漬です。

その他、ひとくちサイズの鶏団子には、西京味噌をつなぎとして使用。食材の臭みも除いてくれる、お味噌の力って、本当に素晴らしい。

え? 銀杏と黒米のおにぎりが少し大きい?
そうなんです。
実は、家族揃ってお米が大好きなもので、どうしても、このくらいはほしいのです。京都の食文化に欠かせない、仕出し屋さんのお弁当なら、おにぎりも程よくちいちゃくて見た目も素敵なのですが、家庭のお弁当って、 食べる人のことを想いながら手作りすることに良さがあると思うので、そこはご愛嬌、おなかが満足する大きさにしています。

ピクニックへ持参するお重には、あえて本漆を使いました。
良質の本漆には、菌の抑制効果があると言われています。昔から食べ物を入れる物として漆器が使われてきているのにも理由があるのですね。
良い道具こそ、特別なときだけでなく、普段の暮らしにも取り入れていこうと思います。

こちらの漆、わたしの大好きなベージュ色。漆の世界では「白」と呼ばれる色ですが、洋のお料理にも合わせやすくて、ちょっとしたおもてなしの食卓でも大活躍です。

取り皿は形も美しい紙製、コップも竹製と、土に還るものや何度も使えるものをセレクト。
ちいさなことですが、積み重ねることで意識も育つのではないでしょうか。 できることから環境を守る試みを実践しています。

お弁当を食べ終わったら、ポットに入れて持ってきた温かいお茶をいただきます。
温かい飲み物って、癒し効果がありますね。ことに、戸外でいただくお茶はひとしお、ほっとするのです。

時には、腕によりをかけた行楽弁当を持って、 青空の下でお食事を。
季節の移ろいを肌身で感じながらとっておきの時間を過ごすのはいかがでしょうか。

秋の食材とお味噌で季節を楽しむ。
京都から、お味噌ふくふく便りでした。

料理研究家 小宮真由(こみやまゆ)

料理研究家。おせち料理の専門家として、新聞・テレビ・ラジオへ多数出演。京都で料理教室「福千鳥」(会員制)を主宰。おせち料理や節句の食など、日本文化や季節感を大切にした行事食を伝える活動を行う。
1971年・京都室町生まれ。

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